「ふれあい」Vol.38 2012年11月号

自分たちが幼い頃に感じた祭りや行事の楽しさを現代に取り戻し、子どもたちに伝えようと、地域に住む若者が立ち上がりました。
行事への参加やイルミネーションの設置など、みんなで出来ることを協力し合いながら、ふるさとへの思いを次世代へと繋げています。


神津佐啓発会会長 徳田真宏さん

■神津佐の元気を取り戻すため『啓発っ子』が大集合!

私たちは南伊勢町神津佐地区在住の若者で「神津佐を盛り上げていこやねえかな」をテーマに活動しています。
発足のきっかけは、幼かった頃の楽しい神津佐を取り戻したいとの考えからでした。
神津佐も高齢化が進み、地区の祭りやお盆の行事が簡素化され、参加者が減っていました。

そんななか2003年、地区の若者7人が集まり『神津佐活性化グループ』を結成。
32名の賛同者と活動を始めました。
そして2004年4月には現在の『神津佐啓発会』に名称を改め、会の規則なども作り正式に発足。
この地区は旧南勢町との合併前は『神原村』と呼ばれ、啓発小学校がありました。
そのため、神原村の子どもたちは『啓発っ子』と呼ばれていたようで、その名を消さぬよう『啓発会』という名前を付けました。


■地区の行事を盛り上げ、楽しさいっぱいのまちに

この会は伝統的なものを昔のように楽しく盛り上げることを目的にしているので、地区行事への参加が中心です。
盆踊りでは、廃れてしまった仮装踊りを復活させることで、子どもたちも楽しく参加できるようになりました。
また、天王祭の灯籠流しでは、川の中州に大灯籠を設置し、その背景となる橋の上で花火を行い盛り上げています。
川面に映る灯籠と花火が幻想的で、伊勢などからもお客さんが来てくれるようになったんですよ。

活動を始めてから地区の皆さんも喜んでくれるし、何よりも自分たちが一番に楽しんでいます。
ふるさとを自分たちで盛り上げるのは当然ですから、楽しみのためにお金を使う感覚ですね。
私たちの活動が子どもたちに神津佐の良さを感じてもらい、ここに住んで良かったという気持ちが根付き、私たちの思いを繋いでくれたらと願っています。


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■7月 天王祭





浜川邦良さん(顧問)

啓発会が参加する前は、灯籠を流す時に人が来るぐらいで、その時間以外は人が集まることはなかったです。
しかし啓発会が露店や花火をしたり、『ピアノ神津佐ーと』が行われたりするようになって、今では灯籠流しの前からたくさんの人が集まるようになりました。
虫送りの松明を持つ人も増えました。
活動の根底に「神津佐が好きだ」という気持ちがあるから、集まって活動するのが楽しいんでしょうね。



浜川祐介さん(会員)

元々、隣の地区出身ですが、去年神津佐に引越してきた際、徳田会長に誘われ入会しました。
今年は、初めて天王祭で灯籠を引っ張る船に乗せてもらいました。
啓発会には活動的な人が多く、準備を含めて楽しく参加させてもらっています。
今後も、楽しんで参加していきたいですね。

■7月 神原園 夕涼み会

地区内にある保育園の夕涼み会では、会員が保護者会役員だったこともあり、露店の出店などでお手伝いしています。


■8月 盆踊り





徳田啓司さん(会員)

高校卒業後、20年ほど名古屋にいてから神津佐に戻ってきたので、地元に早く馴染めるように会員になりました。もともと調理師だったこともあり、盆踊りや天王祭の露店では、食料の買い出し・調理などに腕をふるっています。みんなで楽しめるのが良いですね。



河村昌樹さん(会計)

私が小学生の頃は仮装踊りがあり、工夫を凝らした人には地区から賞金が出るなど随分盛り上がっていました。
人が少なくなった盆踊りを盛り上げるためには仮装踊りの復活だと思い、自分たちも楽しみながら行っています。
今では子どもたちや高齢者も参加してくれるようになりました。
また、津波への心得を唄った神津佐独自の音頭『津波くどき』を継承していこうと勉強中です。


■11月 神原みのり祭

神原神社の大祭に合わせて、神原地区が開催しているお祭りでは、くじ引きなどの露店を出店し盛り上げています。



■年末年始 門松





徳田栄作さん(会員)

地区の東口と西口の2ヶ所に設置する門松作りには特に力を入れています。
材料の松、竹、梅を提供していただけるのがありがたい。
門松作りや忘年会など、家族も一緒に活動できるのが楽しいですね。
神津佐に対する思いを後輩や子どもたちに引き継いでもらえるよう頑張ります。


■12月上旬~1月上旬の1ヶ月間 イルミネーション





田畑友宏さん(副会長)

一番最初のイルミネーションが、印象深いです。
材料や技術は会員各自で提供しあい、色々な人の協力を得ながら作ることが出来ました。
地区の人達がイルミネーションを見て喜んでくれるのも嬉しいですね。



浜川博哉さん(顧問)

様々な職種の方が出来ることを持ち寄って作りました。
この地区は青年団が無くなってしまったので、若者が集まって地区を盛り上げていく会ができたのはとても良いこと。
これからも、地元に根ざした活動を無理なく続けていって欲しいと思います。



市川岳司さん(顧問)

本業が建設業ですので、イルミネーションや門松の設置や撤去を手伝っています。
特に、イルミネーションが出来たのは、啓発会があったからこそとの思い入れが強いですね。
これまでふれ合うことの無かった若者とつきあえるのが楽しいです。
今後も若い人が頑張っているのを協力してお手伝いしていきたいと思います。